アダルト版”浮世絵”「SHUNGA 春画展」へ行ってきた感想。(後半)
通常の美術館に行った時と同様、作品レビューをして見る
まず最初にコメントを避けられない。
「春画」というものなのだから仕方がないのかもしれない。
そう。それにしても、男性器が大きいのだ。
女性のふくらはぎと同じくらいのサイズ感で描かれている。
誇張なのか事実なのかは知る由もないが、昔も今も”大きさ”がステータスの一つであったのは変わりないらしい。
西洋の絵画のように女性の裸体が多いのかと思ったが、ほとんどの女性が妖艶な着物を着ていて、着物の色彩や乱れが美しい。冷静に見ると、入り口付近でマダムが呟いていた「色がきれい」との意味合いも理解できる。
大抵男性がリードしており、いわゆる前戯と呼ばれる行為の描写はほとんどなかった。
作者が男性だからであろうか。
男性目線の描写になっている気がする。
今も昔もアダルト作品は男性向けが多かったのだろうと思う。
メディア(媒体)が絵なのか写真や動画なのかの違いなだけで、性に対する捉え方は昔も今も変わらないのではないか。
作者の特徴
当たり前であるが、作者によっても色が出てくる。
「富嶽三十六景」等で有名な葛飾北斎は男らしいタッチでガツガツとした肉食系男子。
富嶽三十六景のPOPなラインとカラーは好きだが、男性としてはあまり好みではない。
美人画で有名な喜多川歌麿は春画でも美しく男女を描く。
きっと、繊細でマザコンタイプのやさしい人なのだろう。
美人画はそんなに好きではないが、男性としては嫌いではない。
歌川国貞はバラエティ豊富で飽くなき追求心の持ち主である。
バラエティ豊かな描写が続く。
追求心というところでは共感する部分がある。
「これってモデルを見て描いてるんでしょうか。飛んだアダルト撮影現場ですね。」
なんてAちゃんがつぶやいたが、確かにそんな現場で絵を描くなんて想像を絶する世界だ。
あの美しい浮世絵を描いている人たちがそんなエキセントリックな状況で絵を描いていると思いたくないので、せめて妄想の中で描いていて欲しいと思った。
ユーモア溢れる作品も
そんな具合で、見ていくと、なんとまぁ面白いものがでてきた。
男性器を擬人化したキャラクターが横に寝そべっていて、そも周りに女性器を擬人化したキャラクターがたくさん、わちゃわちゃしている。
なんか、小学生の時に読んだコロコロコミックにでてきそうなちょっと下ネタを扱ったギャグ漫画に出てきそうな一場面である。
まさか春画展でこんなユーモア溢れるギャグ漫画に出会えるとは思ってもみなかったので、普通に笑ってしまった。
その他にも、人間以外の生き物と交わる描写や、女性同士の作品もあり、昔の人の想像力に感心するばかりであった。
やっぱりアダルト作品であった
続けて見ていくと、何やら文字が出てきた。
時代が変わるにつれて、絵→文庫となっていったらしい。
そのまま眺めていくと、現代語訳のパネルがあった。
衝撃的な絵と文章で、思わず目が泳いでしまった。
その文章は官能小説そのものだ。
しかも女性器にタコが吸い付く挿絵入り。
今まで、アート作品を見てきたつもりだったが、文章は想像力を掻き立てるのか、そこで初めてアダルト作品を見ている感覚になり、なぜだか声が出なくなった。
となりの女性2人組が「”イク”って言葉、江戸時代からあったんだね。」なんて会話を普通にしている。
そんな会話を聞きながら、あぁやっぱり私は世間でそう見られているように、下ネタはそんなに得意じゃないんだと思った。
AM11:55
そんなこんなで、興奮冷めやらぬまま会場の外へ出ると、人の列は途絶えていた。
もしかしたら私たちが入った午前中の10:30は一番混雑していたのかもしれない。
おみやげもぜひ
翌日にディズニーランドへ後輩達と行く予定だったので、話のネタにおみやげとしてポストカードを購入。
ランドへ入る前に渡したら、一人は文字にならない悲鳴をあげていたが、もう一人は「これ、行きたかったんです!」と一通り盛り上がって夢の国へ入る前の準備運動になった。
そして、そこまで仲良くなりきれていない後輩ちゃんに、お近づきの印としてクリアファイルを買って帰った。
明日、お昼休みにでも渡そう。
こういうの好きそうだから、きっと喜んでくれるはず。
百聞は一見に如かず。
12月23日までらしいので、興味がある人はぜひ。
春画展もそうですが、永青文庫の坂を下ったところのイチョウの気が圧巻でした。
もう散ってしまっているかもしれませんが、今から行く人はぜひ見てください。