アダルト版”浮世絵”「SHUNGA 春画展」へ行ってきた感想。(前半)

「”春画展”という珍しい絵画展がある。日本では今しか見れないかもしれないからぜひ言ったほうがいい。」

 

 

そう友人に言われた。

 

 

 

私は”春画”という言葉を知らず、詳しく聞いてみると、江戸時代や室町時代の性描写を描いた絵画らしい。

 

 

学校の教科書に出てきた”浮世絵”のアダルト版。

 

 

”浮世絵”というと、日常生活や風景がのイメージがあるが、当時は私たちが学校で習う”浮世絵”よりもこちらの”春画”の方が大衆に受け入れられていた、といった説明を受けた。

 

 

イギリスの大英博物館やら海外のコレクターが所有しているらしいが、日本では禁止されて日本には数がほとんどないらしく、今回は主に海外の作品を日本に集めて持ってきての開催。

 

 

18歳未満入場禁止という内容から、あらゆる美術館で開催を断られ、最終的に元首相の細川氏が承諾し、住宅街のど真ん中にある永青文庫にて開催の運びとなったらしい。

 

 

「平日も人が並んでるくらい、すごい人気。」

 

 

そんな、言葉をかけられた。

 

 

ミーハーかつ美術館好きの私にとって、行かないという選択肢はなかった。

 

 

日頃、美術館には一人でふらりと行くのだが、今回のは人気があるから誰か誘ってみたら来るんじゃないか?との考えから誰か誘ってみようと思ったが、内容が内容なだけに、人選は慎重になる。せっかくだから、行って満足してくれるような人が良い。

 

 

ふと、後輩Aちゃんが思い浮かんだ。

 

 

即、LINEを打ってみると、

 

 

すっっごいびっくりしました
私はとても興味がありますけど
Yokoさんから下ネタが出るとは
行きましょう

 

 

との返信。

 

 

確かに言われてみれば下ネタだなと思いつつ、小さい”っ”を2つ付けるくらい、私が下ネタを言うのはビックリする話なのか、と世間からの私の印象を再確認することにもなった。

 

 

別に下ネタが特別好きというわけではないが、特に抵抗があるわけでもなく、今回はそれより「限定感」がある”春画”というコンテンツに好奇心が揺さぶられただけ。

 

 

そして先日、「春画展」へ行くこととなった。

 

 

AM10:30

 

閑静な住宅街の真ん中にある永青文庫の会場へ到着。

 

 

すでに、人が並んでいる。

 

 

少し来るのが遅かったのかもしれないと思いながら列へ並ぶ。

 

 

普段、美術館といったら40〜60代の人が多く、少数の美大生、20〜30代のカップルがちらほらといった年齢構成であるが、この春画展ではいつもの40〜60代に加えて、女性2人組や20〜30代のカップル、若い男性お一人様も多く、老若男女問わず人が集まっている印象を受けた。

 

 

なんだか美術館に来た気分じゃないなぁ、なんて考えていると10分足らずで入場することになった。

 

 

”春画”というのは、生きていく上で切っても切り離せないが公にはタブー視されている”性”というテーマを扱った作品。

 

 

私やAちゃんも含め、周囲の人たちも、「見てはいけないものを見る」ような感覚で、チケット売り場から展示スペースまでの通路は期待と緊張感が漂う異様な雰囲気に包まれていた。

 

 

あと少しで展示スペースの入り口、というところで動きが止まる。

 

 

人が中でつかえていて列が前へ進まないのだ。

 

 

ここまで来て”おあずけ”状態。

 

 

この状況が列に並んでいる人たちの期待値と緊張感を増幅させる。

 

 

そんな時に、係員の方の「列は設けておりませんので、空いているところからご覧ください」との声が聞こえてきた。

 

 

私はこの状況に耐え切れず、列を離れて列の背後から覗き込む作戦に出ることにした。

 

 

覗き込んだ先にあったものは

 

 

”目を見張る”とはこのことか。

 

 

細い繊細なタッチで描かれており、色彩も豊かで美しいが、想像以上に生々しい描写。

 

 

”歴史ある文化財×性”という今まで私の中で逢い交えていなかったものが同時に目の前に現れて、一瞬、頭の中が混乱し、直視しても良いものかという羞恥心が少し芽生える。

 

 

周囲の人たちも、どういったスタンスで作品を見たら良いのか迷いながら、手探りで作品を見ているようだ。

 

 

50代のマダム達は「色がきれいね〜」といった、美術館で良く聞く月並みなコメントをしているが、どう考えても最初に注目すべきところはそこじゃないだろうと心の中でツッコミながら作品を眺める。

 

 

作品を見ていくと、巻物で物語になっているものもあれば、1枚ものもある。

 

 

現代ではあまりないと思われるような状況が描かれている場面もあり、そんな、一つ一つの作品の特徴を注意深く見ていくと、いつしか羞恥心は消え、いつのまにか”春画”の世界に引き込まれてしまった。

 

 

周囲の人たちも、徐々に食い入るように見はじめて、少しでも目に焼き付けたいと言わんばかりに作品を眺めていく。

 

 

男女で見に来ている方では、年齢によって反応が異なる。

 

 

年配のご夫婦は冷静にアートとして作品を鑑賞しているようだが、私の後ろでは若いカップルの会話が徐々に早口になってきて、興奮気味になっているのが伝わって来る。

 

私も男性とここへ来たら、あまり冷静ではいられないと思う。

 

 

作品を少しずつ見ていくが、ますます展示スペースの中の人の数が増えてきた。

 

 

異様な空間と人の数に相まって会場の熱気がすごい。

 

 

そんな会場の雰囲気を感じながら、再度作品に目を落とす。

 

後半はこちら(※ネタバレあり。18歳未満はご遠慮ください。)

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