同性からの突然の告白。(3)私の出した答え。
彼女と会う前にどうしても自分なりの答えを出しておきたい。
思いつく条件はクリアしたのに、この不安はなんだろう?
もしかして論点がズレているのかもしれない。
相手が男性か女性かどうかというような、わかりやすい条件とは別に何か理由があるのだろうか。
もう一度、別の視点で考えてみることにした。
仲のいい友達で終わるのか、付き合うのか。
そもそもなぜこんな真剣に悩んでいるのだろう?
どうでもいい人だったらこんなには悩まない。
こうやって悩む時点で彼女は私にとって“大切な人”なのだ。
すごく仲の良い男友達に告白されたのと同じ感覚なのかもしれない。
じゃあ、仲の良い友達がそれ以上の関係になるのかの判断はどこでする?
一緒にいて落ち着くかどうか。
一緒にいてお互い成長し合えるかどうか。
この2つは大きい。
彼女の場合、一緒にいて楽しいけれど、落ち着くかどうかと聞かれたら、少し弱い気がする。
成長し合えるかという問いも、お互い似たところがあるので刺激が少し足りないような気がしてなんかしっくりこない。
じゃあ、この大きい要素がカチッと当てはまらないのになぜこれだけ悩むのだろう?
すぐにハッキリ断ってしまえばいいのに。
なぜ断らない?
ハッキリと断れないのは彼女が私の”心の穴”を埋める存在だから
一連の私の心の変化を振り返ってみると、告白を受ける前と受けてからと彼女への感情が変化していることに気が付いた。
受けてから彼女がより大切な存在になっているのだ。
それはなぜか?
正直、好きだと言われたことで、私の心が満たされているのを感じていた。
受け入れられていると感じていた。
私は誰かに必要とされる存在なのか、受け入れてくれる人なんているのだろうか、そう心のどこかで常に疑いを持って生活しているのだ。
だから、彼女がはっきりと私の事を必要な人間だと意思表示してくれて、私は彼女のことをより強く意識するようになったのだ。
彼女も同じかもしれない。
今まで自分の気持ちを出そうとせずに生きてきたのかもしれないが、本当は自分の事を理解して欲しいと思い続けてきたに違いない。
そんなところに突然私が現れて、あっさり本心を見抜いてしまい、かつ受け入れてもらえると知ったなら、きっと心が満たされるのを感じただろう。
そう。
私達はお互い「誰かに受け入れて欲しい」という“欠乏感”を埋める存在なのだ。
お酒やタバコ、ギャンブルみたいだ。
私の場合はチョコレート。
お互いがいないと生きていけない状態になってしまう。
中毒になりそうだ。
お互いがいないと生きていけない。
そんな関係を望む人もいるかもしれない。
ただ、私はよりフラットに生きたい。
きっと彼女といると、より“受け入れられている”という快感を得るために、彼女の気持ちを汲んで、自分を犠牲にしてまで彼女にあらゆるものを与えることに生き甲斐を感じてしまうだろう。
彼女が喜ぶ顔を見るのは楽しいが、その行為に固執してしまう。
その時、私は自然体でいられなくなる。
一緒にいたらどんなに楽しいだろう。
でも、今の私では自分に振り回されてしまう。
やっぱり一緒にはいられない。
私は彼女と会う前日の夜、そう結論付けた。
ひとまず明日に備えてゆっくり寝よう。